スミカオリさんによるレビューシリーズ、最後の一つとなりました。
「春の遺伝子」座組メンバーの中で最も若手のお二人のコメントをお届けいたします。
春間木 一
「登場する時の自分のミッションは、当事者にならない傍観者としてお客さんに近い立場にあることだと思ってます。この人物は自分は上手くやってるという自信と、自分以外を馬鹿にする驕りが強くて、安全地帯から真面目な人を見下している。相手が被災者であれ、上司であれ、イラッとしたり平気でちょっかいを出したりする所は、自分も含めて誰でも大なり小なり持ってる部分で、意外と人間くさい。無関心な立場で安全を確保していたのに、作品の中で、現実に関わらざるを得ない場所に来てしまうんですが。作品と3.11の関連が話題に出ますが、小学生だった自分は当事者意識がなくて、でも今はコロナに直撃されて…。問題との距離の取り方の違いを自覚しているので、作品の中での事件への向き合い方に生かせたら…。他の役者さんはリアクションも動きも面白い人だらけです。」
福本 佑典
「大学の演劇部ではこれは体験したことない。いいものにするぞって気持ちを練習中にみんなから感じる。演じる役は典型的な理学部の研究者。良くも悪くも、自分の興味あることしかやらない。一方で社交性もないとやっていけないから仮面も被ってる。特に後半の重要なシーンでは、ファンタジー好きが「ペガサスは実在します」と宣言されたような気分。そもそもDNAってホントにすごい。たった四文字。遺伝子が一段階ずつ発現する過程も組み込まれていて、全部を書き換えるためのプロセスを考えると、研究倫理が二の次になる気持ちもわかる。僕自身は、人間を人間たらしめているのは言語だと思う。ここはハルマキくんと完全に意見が衝突してます。」
(インタビュアー/スミカオリ 写真:yukiwo)
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